公開日 2025/10/29
更新日 2025/10/29

外国人雇用の基本Q&A~人事担当者がまず押さえておくべき確認ポイント~

目次

はじめに

近年、人材不足の解消や事業のグローバル化を目的に、外国人採用を検討する企業が増えています。しかし、「手続きが複雑そう」「何から始めればいいかわからない」という声も多く聞かれます。

外国人雇用は、正しい知識と事前準備さえあれば決して難しいものではありません。本記事では、人事担当者が最初に押さえておくべき基本事項を、Q&A形式で分かりやすくまとめました。

Q1. 外国人を採用するとき、まず何を確認すればいいですか?

A. 採用時に最初に行うべきは、「在留カード」の確認です。

在留カードには、その外国人が「どのような目的で」「いつまで」日本に滞在できるかが記載されています。

確認すべき主なポイント

①在留資格
外国人が日本で活動するために目的に応じた在留資格があります(29種類)
・就労が認められる資格「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能実習」など
・就労が認められない資格「留学」「家族滞在」など
・身分や地位に基づく資格「永住者」「日本人の配偶者」など

②在留期間(満了日)
・在留期間満了の3か月前から在留期間更新申請が可能
・採用時に残り期間が短い場合は、更新スケジュールを確認

③就労制限の有無(カード裏面)
・「留学」「家族滞在」の場合、裏面の「資格外活動許可」欄を確認
・「許可(原則週28時間以内)」の記載があればアルバイト雇用可能

④本人確認(顔写真・カード番号)
偽造カードを防ぐため、以下で有効性を確認しましょう。

出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」サイト
「在留カード等読取アプリケーション」でICチップを読み取り
参考:出入国在留管理庁ホームページ
https://www.moj.go.jp/isa/content/001443353.pdf

Q2. 外国人は、どんな在留資格で働けますか?

A. 外国人が日本で就労できる在留資格は、主に次のとおりです。

①技術・人文知識・国際業務(技人国)
対象:ITエンジニア、設計、通訳、営業、企画など専門職
条件:大卒または専門学校卒業以上が原則
注意点:単純労働(製造ライン、清掃のみなど)は不可

②特定技能
対象:介護、外食、飲食料品製造、農業、建設など16分野
特徴:即戦力人材、支援計画の作成・実施が必要
注意点:転職時には在留資格変更手続きが必須

③技能実習
対象:農業、漁業、建設、食品製造など
特徴:技能習得が目的、原則転職不可
注意点:監理団体を通じた受入が一般的

④永住者・定住者・日本人の配偶者等
職種・業種の制限なし
日本人と同様にどのような仕事にも就ける

【注意点】
現在の在留資格とは異なる業務に従事させる場合は、在留資格変更の申請が必要です。特に「特定技能」の場合は、企業が変わるたびに変更手続きが必要になりますのでご注意ください。

Q3. 給与や待遇は日本人と同じでよいのでしょうか?

A. はい。労働基準法・最低賃金法などの労働法令は国籍に関係なく適用されます。

押さえておくべきポイント

・労働基準法、最低賃金法、雇用保険法、健康保険法などすべて適用
・同じ業務なら、外国人だからといって給与・待遇を下げることは不可
・特定技能・技能実習は「日本人と同等以上の報酬」が許可要件

Q4. 雇用契約書は外国語で作成する必要がありますか?

A. 法的には日本語で問題ありませんが、外国人本人の日本語レベルにより母国語の翻訳文を作成することをお勧めします

「説明不足による誤解」がトラブルの大きな要因です。トラブル防止のために契約書を渡すだけでなく、対面で説明し、理解したか確認することが大切です。

よくあるトラブル

・「残業があるとは聞いていなかった」
・「社会保険料が引かれるとは知らなかった」
・「賞与がもらえると思っていた」

Q5. 採用した後の手続きは?

A. 次の手続きを忘れずに行いましょう

①マイナンバーの収集
・源泉徴収票作成、社会保険・雇用保険手続きに必要

②雇用保険・社会保険への加入
・加入要件は日本人と同じ

【注意点】
外国人から「年金は不要」と言われても、法律上の義務です。帰国時には「脱退一時金」が受け取れることも説明しましょう。

③ハローワークへの外国人雇用状況届出
・雇入れ・離職時に法定義務
・雇用保険加入者:資格取得届・喪失届で兼ねる
・雇用保険非加入者:別途「外国人雇用状況届出書」を提出

④その他のサポート
・住居確保の支援(賃貸契約が難しい場合がある)
・銀行口座開設の支援
・生活オリエンテーション(ゴミ分別、交通機関など)

まとめ:外国人雇用は3ステップで進めれば安心

外国人雇用は、企業の成長と多様化を進める大きなチャンスです。成功のカギは、法令遵守と丁寧なコミュニケーションにあります。

ステップ1:採用前の正確な確認
・在留カードの確認(資格、期間、就労制限)
・業務内容と在留資格の一致確認
・偽造カードのチェック

ステップ2:適切な労働条件の設定
・日本人と同等以上の給与・待遇
・外国語での雇用契約書作成
・労働条件の丁寧な説明

ステップ3:採用後の手続き
・社会保険・雇用保険への加入
・ハローワークへの届出
・在留期間管理と更新サポート

まずは「在留資格の確認」と「届出の徹底」からスタートし、外国人が安心して働ける環境づくりを企業全体で進めていきましょう。

当社は、海外の人材紹介会社との提携もある有料職業紹介事業者です。また、登録支援機関として出入国在留管理庁への登録もあり、特定技能外国人の支援も可能です。外国人材の紹介から採用後のサポートまで行っていますので、外国人の雇用に興味がある方は、こちらまでご連絡ください。

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この記事を書いた人

猪熊 三穂

クリエアナブキ 海外人材紹介担当

行政書士。『入門・やさしい日本語』認定講師 外国人の日本語教育に携わるなど外国人支援をライフワークと捉え取り組んでいる。 【主な資格】 日本語教師養成講座(文化庁420時間対応)修了 キャリアコンサルタント・産業カウンセラー・ファイナンシャルプランナー