
2022年度から高校の新しい科目として導入された「情報 I」。この科目は、2025年度の共通テストにおいて初めて受験科目として実施されました。情報 Iは、ほとんどの国立大学で必須の受験科目となっており、今後の教育システムにおいて非常に重要な役割を果たすことが期待されています。
しかし、情報 Iでは具体的に何を学ぶのか、そしてその学びが社会にどのように影響を与えるのかについて、まだ多くの人が理解していないのが現状です。
情報 Iでは、基本的なITスキルや情報処理の基礎、プログラミングの基礎知識、データベースの利用、ネットワークの仕組みなど、現代社会において必要不可欠な情報技術の基礎を学びます。
具体的にどのような事を学んでいるのか、実際の試験問題を見てみましょう。

出典:「2025年度大学入学共通テスト 情報Ⅰ 問題全文」(朝日新聞)(https://www.asahi.com/edu/kyotsu-exam/shiken2025/mondai_day2_5tzuepw7sd/joho1.html)(参照 2025-04-08)
上記は情報システムと業務の流れが図示されており、どんなデータが流れているかについて考える問題です。業務の全体の流れを把握しながら、システムの観点からデータの流れを考えられる能力を問われています。

出典:「2025年度大学入学共通テスト 情報Ⅰ 問題全文」(朝日新聞)(https://www.asahi.com/edu/kyotsu-exam/shiken2025/mondai_day2_5tzuepw7sd/joho1.html)(参照 2025-04-08)
上記はプログラミングの基礎となるアルゴリズムについてを考え、回答する問題です。
プログラミングについては、高校ではPython、JavaScript、VBA、Scratchの4言語のうち、いずれか1つを選択して学習します。共通テストでは言語による記述の違いを取り払う意味もあり、上記のような質問形式になっています。

いかがでしょうか?今の高校生達は、一般的なITリテラシーを広く身に着けているだけでなく、プログラミングの基礎も学んでいるのです。想像よりも深い知識を学んでいると感じられた方は多いのではないでしょうか?
このような教育を受けた学生たちが、あと3~4年後には大学を卒業し、新社会人として職場に出てくることになります。彼らはITリテラシーの基礎を身につけた人材です。デジタルをうまく活用しながら仕事を進めていくという考え方に早く馴染み、活躍してくれることでしょう。
では、そういった新社会人を、果たして企業は問題なく受け入れられるのでしょうか?日本はITリテラシーが低く、そのため企業の生産性も低いと言われます。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した、「世界デジタル競争力ランキング2024」では、対象67か国中総合評価で日本は31位と決して高くありませんでした。特に個別の項目では「デジタルスキルの習得(67位)」「企業の俊敏性(67位)」「ビッグデータや分析の活用(64位)」と、長年最下位に近い水準です。
このように、ITを使用しての業務効率化が進んでおらず、ITリテラシーの低いメンバーが多い日本企業の場合、ITリテラシーを備えた新社会人とのコミュニケーションが上手くいかない事が考えられます。
「なぜこんな非効率な事をやっているのか」という新社会人の疑問に答えられなかったり、「新入社員の使っているIT用語が分からない」などの状況が発生すると、新社会人の長期定着に影響が出かねません。せっかく企業の今後を期待できる人材を獲得したにも関わらず、早期に手放すことになるかもしれないのです。
今のうちに企業側が取れる対策としては、全社的にリスキリング教育を実施し、社員全員のITスキルを底上げする事、それによって業務効率化を推し進めていく事が一番の対策です。

リスキリングや、システムによる業務効率化の推進には、まず自社のメンバーがどの程度のITリテラシーを持っているのか、現場での課題は何であるか、現時点での状態をはっきりさせる事がとても大事です。
弊社では、社員のITリテラシーを簡単に測定できる「みんなでデジタル診断」というアンケートサービスを提供しています。このサービスは、10分前後の簡単なアンケートを通じて、社内人材のITリテラシーの高さや現場の課題を可視化することができます。
可視化された結果をもとに、どのレベルの人材にどういった教育を実施すればよいのか、業務効率化で優先して着手すべき項目は何かを策定する事が可能になります。
情報Iという科目の導入は、今後の日本においてITリテラシーの重要性を高める最初の一歩です。これから社会に出てくる若い世代が、情報Iで学んだ知識を活かして企業に貢献できるよう、企業側も自社のITリテラシーを見直し、必要な教育を行うことが求められています。
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