公開日 2025/12/11
更新日 2025/12/11

地方版BPOの可能性──地域の力とデジタルの進化が融合し未来を変える (コピー)

目次

静かに広がる「地方版BPO」という選択肢

近年、企業の事務業務を外部に委託する「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」が注目を集めています。特に、都市部ではなく地方に拠点を置く「地方版BPO」が静かに、しかし確実に広がりを見せています。都市圏に比べて人件費やオフィス賃料が安く、同じ業務でも大きなコストメリットが得られることから、企業にとっては経費削減と業務効率化の両立が可能となる魅力的な選択肢です。

また、地方版BPOは「BCP(事業継続計画)」の観点からも注目されています。地震や台風、パンデミックなど、予期せぬ事態が起きたとき、業務拠点が一箇所に集中していると、企業活動が止まってしまうリスクがあります。地方に拠点を分散させることで、万が一のときにも業務を継続できる体制を整えることができるのです。実際、コロナ禍以降、地方へのBPO拠点の移転や新設を進める企業が増えてきました。

2023年度には自治体向けBPO市場が5兆645億円に達し、2027年度には5兆5,015億円にまで拡大すると予測されています。これは、地方自治体でもBPOの導入が進んでいる証拠です。住民サービスが多様化し、職員数が減少する中で、定型的な事務作業を外部に委託することで、職員が本来の業務に集中できる環境を整えようという動きが広がっています。

人材確保の課題と地域に根ざした雇用戦略

しかし、地方版BPOには乗り越えるべき課題もあります。そのひとつが「人材の確保と定着」です。地方では若者の都市部への流出が続いており、安定的な人材供給が難しい地域も少なくありません。

自治体DX推進協議会の調査によると、BPOに関する人材育成や情報収集に「特に取り組んでいない」と回答した自治体が54.1%にのぼり、地域としての人材育成体制が十分に整っていないことが浮き彫りになっています。この課題を乗り越えるためには、BPO事業者が地域に根ざした雇用戦略を構築することが大切です。

たとえば、地元の高校や専門学校、大学と連携して、業務に必要なスキルを持つ人材を育てる取り組みが考えられます。また、フルタイム雇用だけでなく、子育て世代やシニア層が働きやすい柔軟な勤務形態を導入することで、地域の多様な人材を活用することも可能です。

デジタルBPOが開く持続可能な未来

そして今、地方版BPOの未来を語るうえで欠かせないのが「デジタルBPO」の導入です。デジタルBPOとは、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの技術を活用して、業務プロセスを自動化・最適化するアウトソーシングの形態です。従来のBPOが人の手による業務委託であったのに対し、デジタルBPOはIT技術によって業務のスピードや精度を高めることができます。

このデジタルBPOの導入は、地方にとっても大きなチャンスです。人材不足が深刻な地域では、限られた人員で多くの業務をこなす必要があります。そこで、AIやRPAを活用することで、少ない人材でも効率的に業務を処理できる体制を整えることが可能になります。実際、地方銀行や自治体では、デジタルBPOを活用した業務改革の事例が増えてきています。

もちろん、デジタルBPOの導入には課題もあります。既存の業務システムとの連携や、IT人材の不足、導入コストなどが障壁となることもあります。しかし、外部パートナーとの連携や段階的な導入を進めることで、これらの課題を乗り越えることは十分に可能です。

地方創生につながる新しい働き方へ

地方版BPOは、単なるコスト削減の手段ではありません。地域に雇用を生み出し、若者が地元で働き続けられる環境を整えることで、地方創生にもつながります。そして、デジタルBPOの導入によって、地域の業務効率化と人材活用の幅が広がり、より持続可能なBPOモデルが実現されていくでしょう。地方には、都市部にはない「人の温かさ」や「暮らしの豊かさ」があります。そんな地域の魅力を活かしながら、企業の業務を支える地方版BPOは、これからの働き方や地域づくりにおいて、ますます重要な存在になっていくはずです。

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この記事を書いた人

飯間 哲郎

クリエアナブキ BPO担当 マネージャー

香川県出身。大阪・名古屋にて人材関連のセールスを経験後徳島県、香川県等で支店責任者に従事。 ママが子連れで出勤できるワーキングスペース「ママスクエア」を高松・広島・松山で立ち上げ。2021年度より現職。