
現在障がい者雇用を取り巻く環境が大きく変化しています。
2024年4月から企業の障がい者の法定雇用率が2.5%となり、2025年4月の除外率(業種により法定雇用率の算定基準の従業員数を控除)の引き下げ、2026年7月の法定雇用率2.7%への引き上げと、企業の社会的責任が大きくなっている状況です。
また、厚生労働省は昨年12月、「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を設置しました。
この研究会は今後の障がい者雇用制度の方向性を検討するもので、企業の障がい者雇用に影響する論点もいくつかありました。
・手帳不所持の精神障がい者・発達障がい者を法定雇用率の対象とすることについて
・精神障がい者の重度区分(雇用率ダブルカウント)の設定について(現在は身体・知的障がい者のみ設定)
・障害者雇用納付金制度の適用範囲拡大について(現在は従業員数100名以上)
これから議論や関係各所へのヒアリングを行い、2025年度中に障がい者雇用制度全般の見直し方針を取りまとめていく流れとなります。
上記の論点が法制化されるかどうかは議論次第ということになりますが、企業にとって障がい者雇用が益々大きな経営課題になることは間違いないでしょう。
これから障がい者の雇用数を積み上げないといけない中で、採用した障がい者が定着するかどうかは非常に重要な要素となります。
しかしながら、せっかく雇用した障がい者が早期に退職してしまうという問題をお持ちの企業も多いようです。
そこで今回は、採用した障がい者がしっかり定着するためのポイントを、ある企業の採用プロセスの好事例を元にご紹介したいと思います。

ハローワークの障がい者求人を見ると、一般募集の求人を障がい者雇用に内容そのままを振り替えているものを見かけます。
とりあえず募集をしたという印象で、この場合なかなか応募がなく、また応募に至ったとしても採用または定着につながらないケースがほとんどかと思います。
障がい者を雇用するにあたって、支援体制や配慮事項の明確化は必須になりますので、まずは障がい者の受け入れ準備をしっかり行いましょう。
・社内の設備の確認
・担当業務の切り出し確認
・サポート社員、相談窓口の設置などのサポート体制の構築
・社内周知
・障がい者の配属部門への研修実施
事前準備の内容を求人に反映させることで、障がい者の安心感にもつながり、応募件数のアップにもつながるのではないでしょうか。
障がい者を募集する手段としては、一般の募集と同じようにハローワークやWebなどの求人媒体、人材エージェントなどがあげられますが、地域の支援機関にも障がい者の募集についてぜひ相談してみてください。
支援機関経由で障がい者を採用した場合、就職後6か月~最長3年6か月の定着支援を行うのが一般的です。
障がい者の特性上などで問題が発生した場合、どのような対応が適切かアドバイスをもらえますし、障がい者本人に対し第3者の立場で働きかけを行ってくれます。
また障がい者にとっても困ったら相談できるところがあるという安心感にもつながりますので、就業上の問題を解消し、定着につながる可能性が高くなります。
ハローワーク以外の主な障がい者雇用の相談先は以下となります。
・地域障害者職業センター
・障害者就業・生活支援センター
・民間の就労移行支援事業所
支援機関から障がい者の紹介を受ける場合、選考前の職場実習の依頼があると思います。
障がい者に一定期間実際の担当業務を行ってもらうというものですが、この職場実習の実施が定着につながる大きなポイントとなります。
職場実習を通して、就業可否の確認やミスマッチを防ぐだけではなく、障がい者の特性と配慮すべきポイント、切り出した業務が障がい者に対応しているかどうかを確認することができます。
何より実際に障がい者が入社した時に社内でどのようなことが起きるか、受入れ体制の課題なども明確になります。
障がい者の採用にあたっては、職場実習は必要なプロセスと考え、応募媒体に関わらず、実施することをお勧めします。
障がい者、特に精神・知的の人は自分の考えを言葉にする事が苦手なケースが多いため、面接には配慮と工夫が必要です。
質問についてはできるだけYes/Noで答えられる内容で行い、また障がい者が支援機関のサポートを受けている場合は、担当者にも面接に同席してもらうことも良い方法かと思います。
採用後は定期的な個人面談を実施し、業務内容に問題はないか、サポート体制はうまく機能しているかなど就業状況を確認し、もし問題があれば微調整を行っていくことが重要です。

今回採用した障がい者が定着している企業が実施している事例をご紹介しました。
この企業が実践していることは、まずは事前に障がい者の受け入れ準備を行っていること、支援機関と連携して、事前の職場実習の実施や就業開始後の支援体制の構築を行っていること、就業開始後も定期的に業務内容や支援体制の見直し・微調整を行っているということで、結果「障がい者が辞めない職場」を実現していると思います。
これから新たに障がい者の雇用をお考えの企業様は、今回ご紹介した採用プロセスを盛り込んでみてはどうでしょうか。
弊社では、障がい者雇用をはじめ、あらゆる人的課題に対応しています。お悩みやお困りごとは、こちらからお気軽にお問合せください。
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事業推進部 障がい者雇用支援グループ チームリーダー
クリエアナブキに入社後、行政での就職・採用支援や総合人材サービスの営業を経て、障がい者雇用支援事業を担当。 障がい者雇用サテライトオフィス「ウェル工房」を新規に立ち上げ、現在は事業の拡大と運営業務に従事している。